越小越好 2017 8 6

「打撃的面越小越好」
 生まれた時から、漢字に囲まれて育った日本人には、
この言葉の意味が、だいたい、わかるでしょう。
「(意訳)打撃のビームは絞れば絞るほど有効だ」

書名 「米中経済戦争」の内実を読み解く
著者 津上 俊哉  PHP新書

「2スピード・エコノミー」
 日本では、本屋へ行くと、
「中国のバブル経済は崩壊した」という悲観的な見方をする本が多いですが、
内実は違うものがあります。
 著者によると、
旧態依然とした国営企業を中心とした「オールドエコノミー」と、
消費やサービスの領域で新しいビジネスモデルを使った、
私営企業中心の「ニューエコノミー」が急速に成長している。
この分野では、すでに日本は凌駕されていると思った方がよいという。
 さらに、著者の仮説によると、
習近平氏が権力集中を進める理由は、
中国経済を「オールドエコノミー」から「ニューエコノミー」へ転換させたい、
つまり、中国経済の構造改革を推進したいからという。
 確かに、発展途上国においては、
「開発独裁」という手法、
つまり、強力な政治力よって、経済改革を断行した事例があります。
 とてつもなく巨大な中国経済を、
「オールドエコノミー」から「ニューエコノミー」へ転換させるには、
膨大な政治的エネルギーが必要となります。
 このような構造改革においては、
すでに日本が経験したことであり、
日本の知識が、中国の構造改革に役立つかもしれません。
 今のままでは、中国の未来を「オールドエコノミー」が食い尽くしてしまいます。
だからこそ、著者は、講演の席で、こういう例え話をするという。
「中国共産党を見ていると、
重くて窮屈そうな甲羅(共産党の伝統思考)を着た亀に見えてくる。
『そんな甲羅は脱いだ方が快適だから脱いじゃいなよ』と何度も勧めるが、
亀は首を横に振って、こう答える。
『僕は、これを脱いだら亀じゃなくなっちゃうんだ』と」
 今の中国に、このような劇的な変化を求めるのは難しいかもしれません。
亀をやめてチーターになったら、多くの人民が脱落してしまいます。
 しかし、今や、世界経済は、「ドッグイヤー」となりつつあります。
犬が1年で7歳も年を取るように、
IT業界は、1年で7年分の進化をしています。
 そのIT技術を多くの産業が取り入れた結果、
多くの産業でも、「ドッグイヤー」となりつつあります。




















































































トップページへ戻る